これまで「うつ病」の記事をいくつか書いてきましたが、私がどのようにして患ったのかはまだ書いていなかったと思います。
今回は、私の人生の暗黒歴史をお話しします。
一人でも多くの方に読んでいただき、あなた自身やあなたの大切な人を守る一助になれば幸いです。
簡易的ですが、「うつ病チェックリスト」も最後にありますのでご自身の状態をチェックしてみたください。
「あ…」と思うことがあれば、我慢せずにすぐ病院を受診してください。
- 日々頑張っている人
- ついつい頑張り過ぎてしまう人
- 真面目な性格の人
- 几帳面/完璧主義な人
- 責任感が強い人
- 下記リンクの症状が出ている人 または、家族や周りにそのような方がいる人
はじめに
私が病院(心療内科)で「うつ病」と診断されたのは、平成29年6月でした。
症状が出始めて約1年以上経過していたので、おそらく発症は平成27〜28年頃だと思います。
みんな誰もが「私は関係ない」「自分は大丈夫」と考えてますよね。
私もそうでした。でもうつ病になってしまったのです…
「残業」に何の疑問も持っていなかった
私は今年の2020年3月まで、都内にある観光業の某大企業に約20年以上勤めていました。
私の入社当時はまだ働き方について今ほど厳しくない時代で、毎日残業があっても「会社員だから当たり前」くらいにしか思っておらず、何の疑問もありませんでした。
その理由のひとつは「慣れ」です。
退社の定時は18時でしたが、時間になっても誰一人帰ろうとしません。
退社時間を知らせるチャイムが鳴っても、みんな昼間と同じように普通に仕事をしているのです。
「今日は比較的暇かな~」と話していた人も、なぜか残業。
そして20時~21時を過ぎた頃になると、一人、また一人と帰り始めます。
今思えば ”おかしなこと” だと思いますが、当時は毎日みんなが当たり前に残業している姿を見て、その状況に慣れてしまっていたのだと思います。
それでも、当時の月残業は70~80時間ほどでしたので、(若さも手伝い)何とか乗り切れていました。
当時のことでよく覚えているのが、「夕食係」です。
夕食係とはいったい何でしょう?
解説しますね(笑)
退社定時は18時。
その時間になると、その日の「夕食係」なる人が各人のデスクを回って夕食のオーダーを取りにやって来ます。
例えば、「今日は○クドナルドだけど、何にする?」といった具合です。
そしてその夕食係の人が全員分をまとめて買いに行き、みんなデスクで食べながら残業をする。
今思うと ”おかしな光景” なのですが、これも「慣れ」ですね、当時は当たり前だと思っていました。
一年の4分の3くらいはそのような生活を送っていたので、ほとんど自宅で夕食を食べた記憶がありません。
中間管理職になりボロボロに……
自分で言うのも何ですが、顧客とおじさん上司からの評判が良かったからか、順調に出世させてもらいました。
入社10年程でいわゆる「中間管理職(マネージャー)」のポストに。
管理職と言っても慢性的な人手不足です。
今までの実務業務を持ちながら、更に売上げ・顧客管理、人材育成に営業戦略と今まで以上に忙しくなりました。
途中 組織改変が行われ、人員と業務統合・移動があり業務量が前年比1.5倍、売上も180%に。
とても忙しくなったのにスタッフの増加は無し、残業がどんどん増えていくばかり…
次第に昼食抜きは当たり前(食べれたらラッキー)、毎日終電に飛び乗って帰宅するように。
もちろん夕食は食べられません。
このころの月残業時間は130時間を超えているくらいです。
ちなみに、私は一応「管理職」の部類に入っていたため、残業は何時間しても残業代はゼロです(泣)
よく倒れなかった… 当時の1日のスケジュールを公開
今思い返してみると、本当によく倒れなかったと思います。
当時は「周りに迷惑をかけてはいけない」「自分が頑張らなくては」という一心だったので、アドレナリン大放出状態だったのかもしれません。(笑)
【月〜金曜日の1日のスケジュール】
06:00 起床
07:45 家を出る(出勤)
09:00 出社&始業
18:30 昼食(食べれるときは)
24:00 退社
01:15 帰宅
03:00 就寝
※勤務時間:15時間
※睡眠時間:3時間
私はこれを約3年ほど続けました。
休日はまさに「泥のように」寝てました。
当時結婚もしていて主婦でもあったので、家事も出勤前の少しの時間などに頑張っていました。
こんな毎日を過ごしていたので、月曜日から金曜日の夫との会話は朝の1〜2分のみ。
当時 夫は6時に家を出ていたので、その時間に私が起きて「おはよう、いってらっしゃい」だけです。
普通に会話をするのは、週末のみ。(ほとんど寝てましたが…)
涙が止まらない… 眠れない…
毎日こんな生活を続けていると、いろいろな身体症状が出てきます。
私の場合 始まりは蕁麻疹でした。
いつも通り深夜に帰宅し、着替えていると首の辺りがとてもかゆいのです。
そのかゆみはあっという間に全身に広がり、鏡を見てみると1cmくらいの赤い斑点が⁉
ビックリしました。
翌日の朝一で皮膚科に行くと、突発性の「ストレス蕁麻疹」の診断が。
過度のストレスが蕁麻疹を引き起こす?そのメカニズムとは…
実は正確には、ストレス自体が直接蕁麻疹を起こしているわけではなく、ストレスが体を「蕁麻疹が起こりやすい状態」へと変えてしまっている、と考えられます。蕁麻疹は、ある一定の刺激の強さ=反応閾値(はんのういきち、と呼びます)を超えると発症するのですが、ストレスはこの反応閾値を下げてしまいます。すると、普段では蕁麻疹が起こらないような皮膚への刺激にも反応して、蕁麻疹が発症し、あたかもストレスが蕁麻疹を起こしているように見えるのです。
ストレスが反応閾値を下げて蕁麻疹が発症する場合、ストレス具合によって、原因の刺激に反応する時としない時があります。そのため、意外と直接の原因に気付きにくいものです。
ロート製薬HPより引用
飲み薬とステロイド塗り薬を処方してもらい、そのまま会社へ行きました。
その後も何度か蕁麻疹を繰り返し、いよいよ頭痛、動悸、息苦しさ、めまい、集中困難、不眠などのうつ病の症状が出始めました。
ある夜のこと、いつも通り深夜に帰宅し着替えるために寝室へ。
寝室に入った瞬間、なぜか急に涙が溢れ出てきました。
その時「悲しい」などの感情もなく、自分でもナゼ涙が出るのか全く分からないのです。
そんなことが度々起こるようになり、相談した同僚に勧められ病院へ行くことに。
ちなみに、この時点でもまだ自分が「うつ病」だと自覚していません。
ついに病院へ
ついに病院へ行くことにしましたが、この時点ではまだ「うつ病」だと思っていませんでした。
ですので、私は近くの総合病院の内科を受診したのです。
血液検査や心臓エコーなどのさまざまな検査をしましたが、もちろん結果は「内科的には異常はありません」です。
そこで先生が「そのような生活をされているようでしたら、一度 心療内科や精神科を受診してみてはいかがでしょうか」とアドバイスしてくれたのです。
そのアドバイスでやっと心療内科へ行くことになり「うつ病」の診断がされ、 “残業NG” の診断書の発行を受けて会社へ提出しました。
辞めさせてくれない⁈
私は「うつ病」ということがとてもショックで、診断書を会社へ提出したときに退職も考えていることを伝えました。
しかし会社は、「新しい人を雇うまで何とか…」、そして雇った後も「その人が少し育つまで何とか…」と懇願され、結局1年間出社し続けました。
その間も朝は定時に行くことが出来ずお昼から出社したり、出社してもデスクにいるのが辛くて別室で作業をしたりという感じでした。
今思えば、この1年間が症状をさらに悪化させたのかもしれません。
休職を経て退職へ
1年間ほど経ったとき、私の中で「もうダメだ」と何かがフッ切れてしまいました。
その時も退職を願い出ましたが、復職することを考えてほしいと言われて1年間休職することに。
1年間休みましたが、あまり体調が良くなることもなく、復職する気持ちになれず結局退職することになりました。
その時は流石に止められませんでした。
今思うこと
この記事を執筆している日現在、会社を辞めて約9カ月が経ちました。
しかし、症状はあまり改善しておらず、今も通院・投薬治療をしています。
今思う事は「もっと早く病院に行ってれば」「なぜあの時 退職を押し通せなかったのか」という後悔しかありません。
そして、病気と一緒に退職した私には「社会復帰」という新たな不安が加わりました。
さいごに、うつ病を経験した(している)私からの提言は冒頭の通りです。
大事なことですので、もう一度繰り返します。
ちなみにですが……
残念ながら「うつ病」は、一度発症してしまうと完治または根治はしないそうです。
過去に発症したことがある人で、現在問題なく生活出来ている人は「寛解(かんかい)」という状態が続いているのです。
寛解とは?
病気が完全に治った「治癒(ちゆ)」という状態ではありませんが、病気による症状や検査異常が消失した状態を「寛解」と呼びます。
難病情報センターHP
ですので、ふとしたきっかけで再発する可能性があります。
再発しないような働き方、日常生活を心がけるようにしましょう。
うつ病簡易チェック
- 気分が重い、泣きたくなる、ふと涙が止まらなくなる
- 食事が美味しいと思えない、食欲不振
- 好きなことなのにやる気が起きない、興味が湧かない
- 不安感が強くて苦しい、動機や息切れをすることがある
- 物事を悪い方へ考えてしまう
- 寝付きが悪い、朝早く目覚めてしまう
- 歯磨きや着替えなどの日常生活動作が億劫に感じる
- 人と会いたくないと思う
- 休んでも疲れが取れない
- 常に倦怠感がある
- 微熱やダルさ、頭痛などの症状が続いており、他の医療機関では異常がないと言われた
- 人との会話や仕事に集中できない
- 日中の強い眠気
- 強い罪悪感や自傷衝動がある
- 死にたい、逃げたいと思ってしまう